アーモンドミルク市場
食の多様化とヘルシー志向を背景に
日本市場で拡大を続けるアーモンドミルク
日本の小売市場にアーモンドミルクが登場するようになったのは2013年のこと。アーモンドの本場・米国から「ブルーダイヤモンド アーモンドブリーズ」が上陸し、同時期に「グリコ アーモンド効果」が発売されました。メディアが牛乳、豆乳に次ぐ「第3のミルク」としてアーモンドミルクやライスミルクを大きく取り上げたことを契機に、市場は大きく拡大しました。
その後、アーモンドミルクは消費者の支持をうけて「植物性ミルク」として日本市場に定着。堅調に売上を伸ばしてきました。
2023年のアーモンドミルク市場は、販売金額が155億円、販売量は3.0万klとなり.堅実に伸び、定着してきています。
アーモンドミルクは2021年9月のTV番組放送以降、購入者層を広げながら多様な食し方が展開されてきました。
2023年は、アイスやヨーグルトのカテゴリでも、植物性ミルクを使った新商品が多数発売され、植物性ミルクがより身近になってきたと言えます。
中でもアーモンドミルクは、各メーカーから様々な種類の商品が発売されただけでなく、PB商品も増えてきたことにより、さらに手に取りやすくなりました。
また、アーモンドミルクへのカスタムができるカフェも増えてきていることから、アーモンドミルクは着実に生活に浸透してきていることが伺えます。
米国では飲みやすくておいしい
アーモンドミルクが人気に
アメリカやヨーロッパでは、アーモンドミルクはとてもポピュラーな飲みものです。中世ヨーロッパでは、キリスト教徒が肉や乳製品を控える四旬節の期間に牛乳の代わりにアーモンドミルクを飲んでいました。そのまま飲むほかにも、料理やお菓子の材料としてアーモンドミルクがよく用いられています。
アメリカではオートミールやシリアル、スムージーなど、よく乳製品を消費する食文化です。健康意識や菜食主義など、なんらかの理由で牛乳を飲まない人のために代替飲料も豊富で、従来は長く豆乳が大きなシェアを占め続け、ほかにもアーモンドミルクやライスミルクなどもスーパーに並んでいます。
ここ数年では特に、健康意識の高まりや菜食ブームの到来に伴い、こういった「植物性ミルク」の市場が活性化しています。英国の調査会社ミンテルの調査によると、植物性ミルクの市場は、2021年で36億ドルと見込んでおり、2016年から5年間で174%成長しています。中でもアーモンドミルクは植物性ミルク市場の56%を占めています。
植物性市場規模が大きいアメリカでは、ここ数年、カシューナッツや枝豆、ヘンプ、オーツ麦などナッツや種子、穀類など多様な原料を使用した植物性ミルクが発売されています。2024年にはそれらを合計したその他の数字がアーモンドミルク市場を上回りますが、単体としては、引き続きアーモンドミルクが植物性ミルク市場をリードしていくとミンテルは予測しています。
米国における乳代替飲料の販売額推移と将来予測
セレブやモデルも
アーモンドミルクを愛飲!
低脂肪ミルクや豆乳に加えて、ヘルスコンシャスなセレブやモデルもアーモンドミルクを愛飲しています。彼女たちは美を保つ食事法としてスムージーやコールドプレスジュースなどを取り入れていますが、その際人気なのがアーモンドミルクなのです。低カロリーだからダイエットにも効果的、しかもビタミンEとミネラルが豊富なので美肌効果も期待できるアーモンドミルク。美容に敏感な女性たちに人気です。
アメリカではコーヒーに入れる牛乳の代わりにアーモンドミルクを選べる
従来は牛乳の代用品として豆乳が中心でしたが、近年、アーモンドミルクを選択できるカフェが増加。レギュラーコーヒーをはじめ、ラテやカプチーノなどにアーモンドミルクをリクエストできます。アメリカの大手コーヒーチェーン店のスターバックスでも、2016年より牛乳の代わりにアーモンドミルクを選べるようになりました。(日本では、2017年に期間限定で導入、2020年より定番化)
またアーモンドミルクを使ったスムージーやスイーツを提供するヘルスコンシャスな店舗も増えているようです。
進む「食の多様化」、
世界的に植物性乳製品は年々増加
いま、世界規模で「食の多様化」が進み、次々と新たな食の素材やライフスタイルが出現しています。
特にこの数年、世界中で製品開発が活発になっているのが植物由来(プラントベース)の原料で作った食品や飲料です。たとえば植物性乳製品の製品数は、飲料だけでなく、ヨーグルトやアイスクリームなどのアイテムが年々増加しています。素材別にみると、アーモンドはもちろんのこと、オーツ麦やえんどう豆など、新たな植物性の素材に注目が集まっています。
実は植物性乳製品の開発が活発化している背景に、各企業のSDGs(持続可能な開発目標)への対応があります。SDGsへの取り組みの一環として、企業が環境負荷の少ない植物性由来のメニューを採用し、拡充しているのも理由のひとつです。
さらに日本では、訪日外国人の増加により、ヴィーガン(菜食主義)需要が追い風となり、アーモンドミルクなどの植物性乳製品の需要が伸びると予想されています。